高校生夫婦はじめました。
伯母さんは私の息の根を止めるようにしゃべり続ける。
『どうせ初めて付き合って、舞い上がって勢いで決めたことなんでしょう。男に甘いことでも言われたのかしら。母親がいなくなって寂しいときに優しくされて、それで一緒に暮らすのもいいなと思ったの? どうしてそれでやっていけると思ったのか、まったく理解できないけど』
(理解しようなんて、思ってないじゃない)
――そう言いそうになるのをぐっと我慢した。ここで感情をぶつけたらただの喧嘩になってしまう。喧嘩はだめだ。伯母さんの私たちに対する嫌悪感を増長させるだけだから。私がするべきは喧嘩じゃなくて、説得だ。
「……伯母さん、聞いて。私、別に何も考えてないわけじゃなくて――」
『そんなことがまかり通ると思うなんて……あなた、梢さんにどういう教育されてきたのよ』
“梢”、と。
お母さんの名前を出されて、私は言葉を失った。頭の中が真っ白になって、どんな説明をするつもりだったかも綺麗に消えてしまって。
(……嫌だ)
私が私の選択を非難されるのならまだしも。
私の行いで、お母さんのことを悪く言われるのは嫌だ。
(正臣と一緒にいるのは、そんなにいけないこと?)
そんなことない…………と思いたい。だけどお母さんのことを悪く言われたショックが大きすぎて、物事の良し悪しを考えるのに頭が回らない。