高校生夫婦はじめました。
何かを間違えたとはやっぱり思えない。正臣を好きになったことも、私にとっては自然なことだった。迷わず私の人生を引き受けてくれて、さっきの電話では、伯母さんに向かってできる限り誠実な言葉で、私のことを守ってくれた。
初めて好きになったのが正臣で誇らしいとすら思う。
だから。
「私、ちゃんと……真面目に、正臣の奥さんになりたい」
「うん」
「正臣とは、伯母さんが心配するようなだらしない関係にはなりたくない」
「そうだな」
「でも、今の正臣との時間も大事にしたい。せっかく……その……両想いだって、気付けたんだし……」
「……うん」
「高校生の正臣と、キスもそれ以上もしてみたいって思うよ」
彼は優しく静かな雰囲気の中で、くしゃっと破顔した。
「意外と欲張りなところあるよな、お前」
その笑い方につられて、笑ってしまう。
私は頼りない笑い方になってしまったかもしれないけど、素直に彼に頼った。
「どうしたらどっちも叶えられると思う?」
正臣と真面目に夫婦関係を築くこと。
正臣と、高校生の今しかできない恋をすること
「考えてみよう」
彼は頼りになる笑顔で、そう言った。