高校生夫婦はじめました。
ご飯が炊けると私たちは二人で夕食を食べた。真仁さんと三人で食卓を囲んでいた頃と変らず、その日一日に学校で起きたことを話しながら、特売で買えたハムステーキとオニオンスープを口にする。
今日は英語の小テストが散々な出来だったこと。(正臣はそれなりにできたらしい)
学校であんな風に至近距離で話したり頭をくしゃくしゃしたりしてたら、またすぐ冷やかされるようになってしまうということ。(「別にもうよくない?」と言われて焦った)
夕飯を終えた後は順番にお風呂に入った。正臣がお風呂に入っている間に私がアイロンがけをして、私がお風呂に入っている間に正臣が洗い物をする。
私は湯船に肩まで浸かって、ドキドキしながらも自分の考えをまとめた。
お風呂を出て、着慣れたパジャマを身にまとう。衿つきのシンプルなシャツにショートパンツ。髪を乾かし、歯も磨き終えて、私は意を決して正臣の寝室に向かう。
ノックをしようと思っていたら扉が少し開いていて、隙間にそろりと手を差し込んだ。ゆっくり開けて部屋の中の様子を覗くと、正臣がベッドの上で膝を立てて座っている。今日の寝間着はTシャツにゆるっとしたスウェットのズボン。もう何度か見ているはずのその姿にも、“男の子だなぁ”と意識してしまう。
ふと、目が合った。
「あ……」
「知佳、お前……顔カタすぎっ……」
「わっ……笑わないでっ!」
くくっと笑いを噛み殺す正臣に対して怒っていたら、自然と部屋の中に脚を踏み入れていた。正臣のベッドに近づいていくと、彼が「ん」と両手を広げてくれる。