高校生夫婦はじめました。
毎日のように目にしていたはずの正臣の口と、私は今、初めてキスをしている。
そう思うとクラクラした。
「……ん」
唇が離れていく。顔が離れていく気配に合わせて目を開ける。直後はとても正臣の顔が見られなくて目を伏せた。ひそめられた呼吸が熱い。空気がじんわり濃くなる。
どうにもならない気恥ずかしさに目を伏せたままでいると、正臣の手が少し強引に私の顔を上向かせた。驚いた私は彼のシャツの胸のあたりをぎゅっと掴む。さっきよりも深く大きく、正臣の口で唇を覆われる。
「ふっ……!」
気を抜くと後ろに倒れてしまいそうだった。深いキスに最初はびっくりしたものの、相手が正臣で、正臣がこんなに激しくキスしたいと思った相手が私なんだと思うと、幸せで頭の奥が痺れた。
(キスって、こんなに気持ちいいんだ……)
正臣の唇は、激しいけど優しい。“正臣も私のこと好きなんだ”って気持ちが伝わってきて、心臓が痛くなる。