高校生夫婦はじめました。
結局勢いに負けて、最後はベッドの上に背中から倒れた。私が正臣に押し倒されるような形で。そのタイミングで唇が離れてしまって、目を開けると舌を出している正臣が見えた。
彼はキスで息を切らし、頬をほんのり上気させている。切なそうに目を細めて、これ以上がっつくのを我慢しているように見えた。
その表情にきゅんとときめきながら、私はまだ話せる余裕があるうちに考えを伝えておこうと口を開く。
「……体を繋げるかどうかなんて、ほんとは関係ないのかもしれないね」
「……うん?」
「それをしたからほんとの夫婦になれるわけじゃないし、しないから真面目な結婚ってわけでもない」
学校では、私は彼に“正臣ともっと夫婦らしくなりたい”と伝えた。それは嘘じゃないけど、夫婦らしくなるために必要なことはもっと他にあるんだろう。それをこれから探していきたい。
だからこれからすることは、ただ単に。
「正臣のこと好きで、もっと関わりたい。だから、私は正臣としたい」
その答えは自分の中ですんなりと腑に落ちた。
もっと正臣のことが知りたい。もっと正臣の特別になりたい。たぶん、そういう気持ちが膨らむほどに、彼としたいことは増えていくんだろう。