高校生夫婦はじめました。
一線を越える前に、もう一つだけ確認しておく必要がある。
「正臣、あとちょっとだけ聞いて」
「……うん?」
「今回の伯母さんの反応でよくわかったんだけど。やっぱり高校生が結婚して二人で暮らすっていうのは、周りから〝だらしないことだ〟って思われやすい」
少し駆け足な話し方になってしまったけど、正臣はちゃんと聞いてくれていた。顔にかかっていた私の前髪を優しく払いながら、「そうだな」と真面目な顔で相槌を打った。
彼の態度に安心して、続きの言葉は落ち着いて話すことができた。お風呂の中でまとめた私の意見。
正臣とはきちんとしていたい。
「つまらないことでケチつけられたくないから、節度は守ろう? するのは一週間に一回だけ」
「え、一回だけ?」
「一回だけ!」
「……少ない」
わかりやすく不服そうな顔をした正臣。
そうなのか。やっぱり正臣にとっては少ないのか。
「なんでまだしたことないのに“少ない”って思うの?」
「いや……だって、絶対もっとしたくなるって。知佳も」
「それを我慢するのが理性!」
「おぉっ……」
私が断言すると、正臣は気圧されたような声を漏らした。ここはどうにか納得してもらいたい。“週に一度じゃ少ない”と感じる正臣だからこそ、きちんと決めておかなければ見境なく体を求め合う生活になってしまいそうだ。それはさすがに、私もただれていると思うし。
あらためて宣言する。
「決まりね。一週間に一回だけ! 今日がちょうど水曜日だから……毎週水曜日ってことでいい?」
「……いいような、よくないような。曜日はもっとよく考えたほうがいいような……」
「じゃあ今日は一旦やめとく?」
「それはナイ」
「じゃあ水曜日ね」
自分で言っておいて何だけど、“今日は一旦やめておく”という選択肢は私もないなと思った。今こうして正臣の体重の一部を体に感じている間も、早く彼と一つになりたい気持ちが募る。
正臣も同じ気持ちだということは、彼の目を見ればわかった。
「わかった、水曜日な。……もう脱がしていいの?」
「…………うん」