高校生夫婦はじめました。
「ん…………どうした?」
久しぶりに聞く正臣の声は優しかった。
「……お腹すいた」
「だろうな」
「インスタントラーメン食べたい」
「おー」
「正臣」
「なに?」
「ごめんね」
塞ぎこんだことでたくさん迷惑をかけてしまった。いつ復活するかもわからない私のそばにいるのは精神的にもしんどかったはずなのに、正臣はなんでもないことのように、しれっとした顔で。
「別に」
そう言った後で、穏やかに小さく笑ってくれた。
二人でインスタントの袋めんを作って食べた。塩ラーメンにバターと、ネギと、卵と、チャーシュー。そこそこに豪華になったラーメンを二人ですすりながら、私たちは少し話をした。
「私、明日もう一日だけ学校休むと思う」
「うん? それはいいけど……」
自分も一緒にいたほうがいいだろうか、と迷っていそうな正臣に、私はきっぱりした声で言う。これ以上の迷惑はかけられない。
「正臣は普通に学校に行って。私は、行かないといけない場所があるから」
「……行かないといけない場所?」
泣いて、泣いて、ひたすら泣いて。
やっと顔を上げたところで、私の試練はまだこれからだった。
「うん。おじいちゃんの家に行ってくる」
私は祖父から呼び出しを受けていた。