最弱救世主とドS騎士


領主様とか他の国のお客様達が落ちついた頃に、国民がホールに入れる仕組みになっているようだ。
お誕生日は誰でもウェルカムなんだね。
太っ腹だわアレックス。

「王様の誕生日だけ私達もお城に入れるんだよ」

シェフの魔法でテーブルの上の料理は、エンドレスで減る様子がない。
全てが美味しくて食べ過ぎてしまいそう。

「そして特別な部屋に入れる日。どこのお姫様かと思ったよリナ!」

ワイングラスを持って、私達の会話に入り込んだのは肉屋のご主人だった。

「特別な部屋?そんなのあるの?」

私が聞くと
みんなはニヤニヤ笑ってる。

「今年は成功者はいるかな?」
「鍛冶屋のボブはどうだろう?小さなルビーをもらえたら指輪にして、スザンヌにプロポーズしたいって意気込んでいたから」
「それはいい願いだ」
「私も店を大きくしたいから、金貨が欲しいんだけど」
「絶対ダメだな」

みんなで盛り上がってるけど
私には何が何だかわからない。

説明してもらおうと思っていたら
アレックス現れた。

主役の登場に周りのみんなは頭を深く下げるので、私もつられて頭を下げる。

「顔を上げなさい。今日は無礼講だ」
穏やかにそう言われて
みんなは顔を上げてアレックスにお祝いを告げる。

みんなは少し緊張しながら
尊敬の目でアレックスを見ていた。
そのまなざしだけで
どれだけアレックスがみんなに好かれているのかわかる。

素敵な国王様だ。

やっぱり上に立つ人だよね。
上司がいいと
部下も頑張れるもの。

どこも一緒だなぁ。


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