最弱救世主とドS騎士

その場から離れて会場をひとり歩く。

リアムを入口で見つけたけど、若い騎士団たちと打ち合わせなのか、真剣な顔で話しをしていた。
忙しいね。頑張って。

知らない人にワルツを誘われたけど丁寧に断り、美しい音楽が鳴る方に呼ばれて歩く。

2つのバイオリンとチェロとビオラで奏でる弦楽四重奏。
なんて綺麗な調べなんだろう
知らない曲だけど、どことなく懐かしく美しい。
どんな人達が演奏しているんだろう
バッハとかモーツアルトとか、そーゆー芸術肌な人達かなって、思っていたら。

楽器が演奏していた。

透明人間が演奏しているように
楽器が勝手に動いて演奏していた。

人件費節約だな。
魔法って夢がないわー。

それでも機械仕掛けみたいで楽しい。

感心しながら見ていると、シルフィンが「リナ様」と駆け寄って来てくれた。

小柄で顔も声も全て可愛い。
あっちの世界に連れて行って
アイドルにさせたい!

「王様とお似合いでした」
興奮状態で突っ込まれた。

「ありがとう。シルフィンが靴に魔法をかけてくれたおかげだよ」

「リアム様ともお似合いでした」

「ありがとう」

一曲だけだったけど
リアムにリードされて踊れて幸せだったよ。



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