最弱救世主とドS騎士

「そういえば、さっき面白い話を聞いたの。特別な部屋があるんだって?」
シルフィンなら何でも知ってそう。

「えーっと。きっとそれはお宝部屋だと思います」

「お宝部屋?」

「王様の誕生日と氷樹祭の時だけ扉が開きます。金銀財宝がいっぱいの部屋です」

「今日も開いてるの?こんな日に開いたら、悪い人だっているかもしれないよ。盗まれちゃう」
みんな善人とは限らない。
街で泥棒とか見かけたし、事件になったら大変だ。

「大丈夫です。部屋の中の財宝は魔法がかけてあって、自分の欲で盗んだ品物は部屋を出た瞬間、毒のある小さな蛇に変身して盗んだ人物に噛みつきます」

「それってリスク高い!噛まれたら死んじゃうの?」
せっかく盗んでも蛇になって噛まれるなんて怖っ!

本気で心配する私を見て、楽しそうにシルフィンは笑った。

「死にませんが、一晩中身体に湿疹ができて、身体中がかゆくなります」

「かゆいの?」痛いじゃなくて?

「はい。王様が決めました。痛いよりかゆい方が辛いからって」

どっちもどっちだけど
なるほど
たしかにかゆいのは辛い。

「でも気持ちが強くて、その理由が正しければ蛇に変わりません。そのままお宝になって自宅に持って帰れます」

「そっか。さっきね、プロポーズに使うからルビーが欲しい人がいるって聞いたの」

「その方は成功します。自分の欲はダメですが、人に対する気持ちが正しければ大丈夫です。子供が優しさで母親に小さな宝石をプレゼントするパターンも成功してます。後からリナ様もご案内します」

「ありがとう」
楽しみです。

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