最弱救世主とドS騎士
「リナが抜いたのかい?」
「ケガはないか?」
私も衝撃だったけど
こちらの世界に住む2人にとっては、もっと衝撃だったみたい。
「うん……大丈夫だよ」
転んでお尻を打ったぐらい。
「見せてくれる?」
アレックスが声を震わせて手を出すので、私はアレックスに剣を差し出した。
アレックスは息を飲んで剣を手にすると「うわっ」と、声を上げて剣を床に落とす。
「王様!」
シルフィンとリアムは目の色を変えて、見えない敵からアレックスを防御しようとするけれど、アレックスは「すまない。小さな針のようなものを手のひらに受けた。気をつけるように」と苦笑いで自分の手から落ちた剣をジッと見つめていた。
鏡のような光る刃にアレックスの真剣な顔が映る。
リアムが剣を拾おうとして手を伸ばすと
電流が通ったようなリアクションをして手を下ろした。
それを見ていたシルフィンも挑戦したけれど「岩のように重くて持てません」と言って首を横に振る。
どうなってるの?
「拾ってくれるかい?リナ」
アレックスに言われ
私は床に落ちた剣を簡単に拾う。
さっきまで持ってたぐらいだもの。
トゲトゲも付いてないし
電流もこないし
すごく軽いよ。
「やはり、リナは救世主だった」
アレックスに感心したように言われてしまった。