最弱救世主とドS騎士
剣の先生は今日も怖い顔をして
容赦なく私を指導する。
「身体の軸が曲がってる!動きが遅い」
大きなオリーブの木の下はそよ風そよそよ
お昼寝に丁度いいのに、私はリアムに怒られながら剣を交える。
「腰が入ってない。基本の形を思いだぜ!」
身体を動かすのは大好きで
テニスを続けていた。
運動神経はいいと思ってたのに
剣なんて
触る機会もないもんね。ジャンルが違うよ。
先生に怒られないぐらい上達する魔法をアレックスにお願いしたけど、金貨の山に突き刺さっていたこの魔法の剣には効かなくて、私は魔法なしの自力で修行をするはめになる。悲しいお知らせ。自力じゃ無理。
思いっきり後ろに転ぶと
リアムは大きなため息をついて手を差し出した。
「ため息するなら、見えないようにしてくれる?」
差し出された手を無視して立ち上がり文句を言うと
「そこまで気を使ってたまるか」って言われてしまった。
くっ……くやしいーーー!!!
現代人は打たれ弱いんだから
もしリアムが上司なら心が折れる部下がいっぱいいそう
逆にこのドSがいいって頑張るかな。
アレックスが優しすぎるから
バランスが取れて丁度いいのか。
それにしても
剣の稽古って難しい。