最弱救世主とドS騎士

呼吸を整えてから
背筋を伸ばしてリアムに向かう。
魔法も使えないポンコツ女子だけど、今はヤルしかない。

私の覚悟が通じたのか、リアムも満足気な笑みを浮かべた。
こんな時に不謹慎だけど
リアムと通じ合ってる気持ちになって嬉しくなる。

早くラスボスやっつけて
心から嬉しくなりたい。

でもやっつけたら
私はアレックスと結婚して
この国の王妃様になってしまう

その
ラストはハッピーエンドなんだろうか

余計な事が浮かんでしまい
またリアムの剣に追い込まれて転んでしまった。

「集中しろ!」

「すいません」

落ち込んで膝を抱えて座り込むと、目の前にホットワインが差し出される。

「休憩だ」

「ありがとう」

リアムも隣に座り
彼が魔法で出してくれたワインを味わう。

あぁ美味しい。

空を見上げると
どこまでも青く高い。
そして
ドラゴンと鷹が楽しそうに泳いでいた。

フレンドとジャックだな。

優しくそよぐ風
木漏れ日から射す光がリアムの長い髪を輝かせる。

こんなに平和なのにね。







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