最弱救世主とドS騎士
「アレックスは順調?」
「今月末には完成する」
アレックスは一昨日から大きな大きなドームを作っている。
そこに強く魔法で結界を貼り
魔王が来る日に国民を集めて守るつもりだ。
魔力をたくさん使うから、身体に負担もかかってるはず。
シルフィンが付いて回復の呪文をかけてるようだけど、大丈夫だろうか。
「リナは剣が上達する事だけ考えろ。お前の剣しか魔王を倒せない」
「リアムに言われると重いわー」
「剣は軽いのだろう?」
「そうじゃなくて……いや、いいです」
現代語は通じないか。
苦笑いしてホットワインを口にする。
本当にこの国のワインは美味しくて感心してしまう。
あっちの高いワインと比べても、こっちの方が絶対美味しい。
あっちのワイン
あっちの国。
もうすっかり
こっちの人になってる私。
あぁなんか今日はダメだー。
ガックリ気落ちする。
マグカップを持ちながら体育座りで顔を下げ、小さく丸くなってしまう。
「リナ?」
「ごめん。3分だけ落ち込ませて。ポンコツ救世主でゴメン」
「そのポンコツの意味がわからないのだが」
「えーっと、ダメダメってヤツ」
「リナはダメじゃないぞ」
「ありがとう」
うつむいたまま礼を言う。