最弱救世主とドS騎士
シルフィンは呪文を唱え
リアムがとどめの剣を振り上げ黒い影を刺すと、私を殺そうとしていた影は一瞬で消えてしまった。
「リナ様!」
「リナ!」
ふたりの顔を見たとたん
ボロボロと安心して涙を流す私。
「悪霊です。大丈夫ですよ、もう退治しました。もう消えました。ケガはないですか?」
ありがとうって言いたいけれど
締められた喉が痛くて返事ができない。
涙だけがとめどなく溢れるだけ。
「リナ様」
泣きそうな顔になってるシルフィンをなだめたいけど、泣くしかできないなんて情けない。
「リナ様。どこか痛い場所はありませんか?」
「シルフィン戻れ」
リアムの大きな手がシルフィンの肩をそっと触り、目線を扉に向けた。
シルフィンはしばらく考えてから「お願いいたします」と言い、静かに部屋から出て行った。
部屋に残されたのは
私とリアムだけ。
「ケガはないか?」
リアムの言葉に私はうなずく。
「今日は月が綺麗だな」
優しい声を出し
リアムは窓の外を見つめる。
眠れない寂しい夜が
優しい夜に変化する。
「怖かったろう?」
「うん」
「もう大丈夫だ」
リアムは笑顔を見せ
私をソファからお姫様だっこしてベッドに寝かせ、自分も私の隣に横になり私の身体を抱きしめた。