最弱救世主とドS騎士
左手には亡き王妃様からもらった指輪をはめ、右手にはリアムからもらった彼のお母様の指輪をはめる。
両方の指輪を重ねたら、魔王を一発でやっつける事ができる超強烈ビームが出てきたらいいのに。
「何をしてるんですか?」
「いや……ちょっとお試し」
ごまかし笑いをしながら、私は中指同士を離してまたジャックとアレックスの仕事を見つめる。
剣の稽古を終わらせ
私はフレンドに乗って、ジャックと共にアレックスの元にやって来た。
アレックスは壊された神殿の中央に立ち、街の外れに大きな大きなドームを作っていた。
彼が指揮者のように手を動かすと、細かなパーツが宙を動き、複雑なパズルのように建造物に組み込まれてドームに近づく。
見晴らしの良い丘は秋の風が吹き
黄昏がアレックスの美しい髪を照らす。
その端整な顔と佇まいはギリシャの彫刻のようで、壊された神殿に調和されている。アレックスの隣にはシルフィンが付き添い補助をしていた。
私とジャックは少し離れた場所でそれを見守る。
何か手伝いができればいいのだけれど、本当に見守る事しかできない。剣の腕も上がらないし、リアムとあんな関係になったけれど、剣の先生は厳しくてドS上司って感じ。元からツンデレなんだろうな。