最弱救世主とドS騎士

フレンドのたてがみを撫でていたら、疲れたのかドラゴンは寝てしまった。
可愛いな。

「秋の祭りの前に、挙式をされたらどうでしょう?国民の士気も上がりますし、リナ様の幸せな姿を早く見たいです」
爽やかジャックにそう言われたけれど、それが自分とアレックスの話とすぐ繋がらなかった。それほど私の心はリアムにあるのかもしれない。

みんなの前で王様にプロポーズされて
しっかり受けたのに
しっかり裏切ってます私。

反逆罪で死刑かもしれません。

全てが終わってからアレックスに報告しようと思ってる。今は彼も忙しい。みんな忙しい。

ため息をすると心配そうな顔をされてしまった。
ごめんごめん。

「国民でも、挙式をする人が増えてます」

「そうなんだ」

わかる気がする。
何があるかわからないから、愛する人と繋がりたいよね。

「ジャックは?」

「自分ですか?自分は……いいんです」

ジャニ系青年の目がアレックスの隣にいるシルフィンを熱く見る。

「告白して、プロポーズしちゃえば?」
軽く本気でジャックに言う私。

いつも明るく爽やかで優しいジャック。
リアムを心から尊敬していて、こんな私にも最初から優しかった。
ジャックにも幸せになって欲しい。

「シルフィンが好きなんでしょう?」

「はい」

青年は素直に返事をする
そして

「でも彼女の心は王様にありますので」
そう追加する。
その声は優しいけれど寂しく聞こえた。
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