最弱救世主とドS騎士

彼女は抑えた目をしていた。

私にアレックスを語る時は熱く、彼女の尊敬の想いが溢れるらいに私に語ってくれる。
大好きな祖母を亡くして、森の奥でひっそりと泣きながら暮らしていた少女を助けたアレックス。

命の恩人が愛する対象になったのは、いつなんだろう。

きっとシルフィンは沢山苦労した分、自分に厳しくアレックスの影になろうと思ったのではないだろうか。

アレックスの為に生きる。
愛する人が幸せになりますように
笑顔で暮らせますように

だから
こんなどこからともなく現れた、私みたいなのをアレックスが気に入って(自信はないけど)自分の妻にしようとしても、アレックスがそれを望んで幸せになるなら、何も言わないのだろう。

精神を集中させてドームを造るアレックスと、それを見守る少女を見つめる。

切ないね。

そして
全てを知りながら
少女を愛する青年がいる。

ため息ばかりでてしまう。

ジャックはサッと手を上げて、赤いバラの花をマジックのように出して私に捧げる。

「ありがとう」
花って不思議
どんな状況でもその場を明るくしてくれる。

「元気出しましょう」
ジャックに明るくそう言われてしまった。

「うん」
元気が出ない時は出すしかないのか。

「とても綺麗。ジャックも凄いのね。軽く魔法が使えるんだ」

「一応、騎士団なので」

おぉエリート軍団か。
ふたりで微笑んでたら、アレックスが手を止めて私達を振り返る。
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