最弱救世主とドS騎士
「アレックス」
「何?」
アレックスの柔らかな前髪が首筋に触れてくすぐったい。
「ちょっと離れて欲しい」
「嫌だ」
そっと身体を離そうとする私を拒否するよう、彼は余計に私に密着してしっかり抱きしめて首筋にキスを繰り返す。
「本当にやめて」
「嫌だ」
優雅で品があって威厳があって
優しくて癒し系で完璧な王様だけど
今日は駄々っ子王様。
「いや本当に……やめて」
ズルズルとフレンドの背中で私達の身体は崩れ、完璧押し倒されてしまった私。
フレンドのたてがみがフワフワしていて
上質なラグのよう。
黄昏を背にして
アレックスが私を拘束して両手首をつかまれた。
このまま
そうなっちゃう可能性もあるかもしれない。
あぁフレンド
超めちゃくちゃ運転して私を落としてちょうだい。
王の重みが私の身体に重なる。
ふわりといい香りがする。何の香りだろう。
上品なバラの香りがする。
彼の唇が私の名前を呼び
そっと重なる寸前
私は顔をそむけてキスを拒否した。