最弱救世主とドS騎士
「私が全部悪い。殺すなら私にして」
「リナは下がってろ!これは俺とアレックスの問題だ」
「黙ってられないでしょ。もとはと言えば私が飛ばされて現れたのが悪いんだから」
「リナは救世主だ。魔王を滅ぼす力を持っている大切な存在だ」
「この石頭!」
不器用の意地っ張り
私達は似ている。
こんな殺されそうな場所で口論する私達を見て、アレックスはお腹を抱えて爆笑した。
王様は笑い上戸
また変なツボにはまったのだろうか?
柔らかそうな金髪が揺れ、うっすらと暗くなった夜の始まりの空に輝いていて綺麗だった。
「本当にお前たちは……見ていて楽しい」
そして自分の剣を戻し
スッと片手をリアムの前に差し出した。
「やっと私の名前を呼んでくれたな。リアムから私の名前を聞いたのは、もう何十年振りだろう」
いつもの優しい
穏やかな王の微笑みだった。
リアムはアレックスの手を取り立ち上がると、私の肩をしっかりと抱き寄せて私の顔を見つめる。
「心配したんだから……」
「悪かった」
「私こそ……ごめん」
ぎゅーっと力強く抱きしめられる。
もっともっと
強く強く抱きしめてほしい。
よかった
無事で本当によかった。