最弱救世主とドS騎士

どのくらい時間が経過したのかわからないけれど
リアムの胸の鼓動が届くぐらい強く抱かれて
やっと安心できた私。
きっと彼も同じ想いだろう。

やっと私を解放して肩を抱き
一歩下がって王に膝を着こうと思ったら、アレックスは「そのままでいい」と言い、壊れた神殿の固いベンチに私達三人は移動した。

もう星が出ている。

少し落ち着いた涙目フレンドが離れた場所で、ジャックとシルフィンに撫でられながらちょこんと座ってる。今にも駆け寄って抱きつきたい気持ちを押さえ、私はアレックスの言葉を待った。

「怖かったろう。申し訳なかった」
アレックスが私の胸元をそっと触ると、ナイフで切られた傷跡がスーッと消えて痛みも跡もなくなる。やっぱり魔法って不思議。

「リアムがリナを好きになったのは、すぐわかった」
単刀直入に王に言われ
リアムの身体がピクリと動く。

「いつも冷静なリアムがリナの前では乱れて落ち着きがなく、ずっと目でリナを追い、私がリナを王妃にしようと宣言した時のリアムの顔は……おもしろかった」
思い出したようにアレックスはまた爆笑し、リアムはぐうの音も出ないほど打ち負かされていた。

闘いは得意だけど
恋愛ネタで突っ込まれるのは不得意らしい。

< 144 / 236 >

この作品をシェア

pagetop