最弱救世主とドS騎士
死と隣り合わせの選択②


乾いた風が壊れた神殿に吹く。

私達は完成されたドームに入る人の行列を、その場所からただ見つめている。

アレックスが魔王から国民を守る為、強い結界を貼って造った巨大なドーム。
そこに人々は引き込まれるように入って行く。
昨夜からの長い長い小さな点の繋がりは、やっともう少しで収まそうで終わりが見えてきた。

「いい天気だ」
アレックスが黄金の髪をかき上げ、風の音を聴いている。
シルフィンはその後ろに立ち、フレンドの髪を撫でていた。
フレンドは何かを感じているのか、甘えた声を出してアレックスのマントをつかんで引っ張る。

「こらこら」
いつもの王の笑顔を見ると心も落ち着く。

「空が高い」
アレックスが空を見上げると
大きな銀の弓を持ったリアムも空を見上げる。

秋の収穫の日
青い空はどこまでも青く高かった。

穏やかな空から一羽の鷹が舞い降り、リアムの前に膝を付けるとジャックの姿に変化した。

「騎士団の体勢は整っております。国中探しましたが国民の姿はありません。皆ドームに集まってます」

「ご苦労。お前もドームの警備に着くがいい。危険を感じたら騎士団達とドームに入れ」

「いえ!自分はリアム様の傍におります」

ジャックの決意は固い。
リアムはどうにかして被害を最小にしたいのだろう。特に可愛がってるジャックを自分から離して、助けたい気持ちなんだけど、ジャックがそれを許さない。

それに
シルフィンもここに居る。
だから彼は私達と一緒に戦うのだろう。



< 152 / 236 >

この作品をシェア

pagetop