最弱救世主とドS騎士
あっという間に時が過ぎ
今日は秋の収穫祭。
一年前の悪夢がよみがえるのか
リアムの顔が空から離れない。
アレックスとの仲が元に戻り
私は正式にリアムの恋人となった。
忙しいけど毎日楽しかった。
今日の日を忘れたように
楽しく過ごした。
食べて飲んで騒いで
フレンドと遊んで
シルフィンと2人女子会して
厳しいドS騎士団長の剣の稽古はあったけど、それ以外は砂糖菓子より甘い恋人として過ごした。
魔法のじゅうたんに乗って夜の散歩も楽しかった。
街の灯りと星屑の中間で溶けるようなキスをした。
今日まで充実していて
幸せな日々だった。
「一曲歌おうか?」
腕の中に入る小さなハープを魔法で出して、アレックスが機嫌よくそう言うと
「やめろ」
「それだけはいけません」
「王、それだけはお許し下さい」
残り三人の勇者がピシッと大否定した。
全知全能の王はオンチなんだ。
つまらなそうにアレックスは楽器を消すと、空が暗くなり始めた。