最弱救世主とドS騎士

「リナ!」

リアムに手を出され、私は我に返って彼の手を強く握ってリアムの黒いペガサスに乗り込んだ。

「離れるな!」

「はい!」

ペガサスは急上昇で空に上がると、フレンドの吐く炎の感じて身体が熱くなったと思ったら、それはフレンドの攻撃の炎ではなく、魔王が火の粉を飛ばしていた。その火の粉はピンポン玉くらいの大きさで身体に着いたらあっという間に回って燃え死ぬだろう。闇の中でイリュージョンのようにオレンジ色の玉は降り注ぎ、騎士団達も被害を受けている。

リアムは火の粉を避けながら、鍛えられた体幹でペガサスの背に立ち、狙いを定めて素早く銀の弓を引き魔王の目にヒットした。

魔王は邪悪な笑いを一時止め、いまいましい顔でリアムを見て口からリアムが放った矢を返す。

「危ない!」
それはしっかり私達が乗っているペガサスを狙っていて、リアムは私をかばいながら避けたけど上手くいかず、ペガサスの羽に当たってしまい、私達の身体は空中で放り出されてしまった。

肺がつぶれそうになるくらいの急降下で、息も心臓も止まるかと思ったら、ジャックがすぐ気が付いてフレンドを誘導し、私とリアムはフレンドの背に落ちる。

死ぬかと思った。

「フレンド頑張って近寄れ。リナ、近寄った時にお前の剣でヤツの目を射せ。俺が先に出て油断させるから」
リアムに指示を出されてフレンドはまた口から威嚇の火を出し、私は震えながらうなずく。

「リナ……お前にしかできない。替われるものなら替わりたい」

「リアム。まだ半分プロポーズが残ってるよ」

「そうだな」

リアムは笑って私をもう一度抱き、唇を重ねた。

「リナに出会えてよかった。愛してる」

「照れ屋なリアムが、今日はいっぱい言ってくれるね」

「挙式の日には一日中言ってやる。行くぞ!」

「はいっ!」

最強の龍の背に乗り
愛する人と魔王の顔に突っ込んだ!

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