最弱救世主とドS騎士
「リアム!」
違う違う違う!
絶対ありえない!
リアムが負けるなんてありえない!
彼の名を叫びながらその姿を捜すけど、魔王は私に気付き、笑って手のひらをこちらに向けると、そこにリアムが大きく胸を上下にさせながら横たわる。
「リアム!起きて!」
お願いだから起きて
立ち上がって闘って!
私の願いが伝わったのか、リアムは肩を押さえながら起き上がろうとする。
その時
魔王はリアムの身体をもう一度握り潰し、下界に放り捨てた。
リアムの身体はありえない方向に曲がりながら落ちて行く。
「助けてフレンド!」
フレンドはリアムの傍に猛ダッシュをかけて行こうとしたけれど、龍の身体はピンと張られた糸のようにまっすぐになり動きを止めてしまった。
「リアム!」
手を伸ばしても彼の引きちぎられたマントにも届かない。アレックスは慌てて攻撃の手を止め、リアムを光で包んで無事に地上に降ろそうとしたが、魔王の力でその光のは破られてしまった。
私達の叫び声と同時に、リアムの身体は地上に叩きつけられて彼の息は途絶えた。
リアムは……死んだ。
私を残して
リアムは死んでしまった。
「いやぁーーー!!」
フレンドの背から落ちそうになるほど私は泣き叫び、リアムを見つめる。