最弱救世主とドS騎士
「リアム!」
「リナ!」
「リナ!」
生きててよかった
また会えてよかった
大好きな大好きなリアム。
ぎゅっとそのボロボロの身体を抱きしめてあげたい。
互いに駆け寄った中央の場所あたりで、アレックスの身体が壁のように私達を遮った。
「近寄るな!どっちかはリアムだけど、どっちかは魔王だ」
そう言われても
切ない目をする二人のリアムを見ていると、どっちでもいいから三人で抱き合いたい気持ちになるよ。
「リナもリアムも下がれ、リアムはこっちからこっちに来るな」
部屋にあった高そうな花瓶を床に置き
アレックスは私を引っ張ってジャックとシルフィンを呼んで円陣を組み、リアム達はあきれた顔でその場に座り込む。
「どうなってるの?」
私が大きな声を上げると
「誰もが知りたい」
アレックスが言い、ジャックとシルフィンは真剣な顔でうなずく。
そうか
誰もみんなわからないまま、ここに飛ばされたんだ。
愛する人をジッと見るけど
ダメだ
同じ顔してる
雰囲気も同じで声も同じだった。
あの
ふてくされる態度の悪さもまさしく二人ともリアムだ。
ドンドンと窓の外から音がして、窓に目を移すとフレンドがいた。
「フレンド!」
叫んで大きな窓にダッシュすると、フレンドは私を見つけて泣きながらこっちを見つめる。窓いっぱいに映る顔を見て助かったんだと安心して涙が出た。