最弱救世主とドS騎士

「フレンド。よく頑張ったね。すごく強くてカッコよかったよ。本当に本当に頑張ったね。偉い偉い」

ガラス越しに互いに大泣きしてしまう。
よかった。生きててよかった。
窓を開けようとするけれど、あれ?開かないな。

「アレックス。窓を開けてほしいの。撫でてあげたい」

「私もそうしたいのだが……」

アレックスがゆっくり私の傍に来て、手を上げたり呪文を唱えるんだけど、窓は開かなかった。手動で開けれないのね不便だわ。

「どうやら、私もジャックもシルフィンも魔法を使えないんだよ」

「えっ?」

「窓も開けれない、お茶もワインも出せない。だから……魔法でどちらが本物のリアムか見つけるのは……無理らしい」

「そうなの?」

「うん。リナ式に言うのなら『めちゃめちゃ不便』というやつか?合ってるかな?」

うん合ってるけど
それはどうでもいいとして……えーーーっ!!!

どっから突っ込もうと思っていたら
どこからともなく
低い声が部屋中に聞こえてきて、その震えるような怖い声に身をすくめる。

『異世界の女よ。お前の愛する男が目の前にいる。さぁ早く抱きしめキスをしろ。でも、間違えるとお前の命も男の命も失うだろう。国を滅ぼし国民の命もない。この部屋に居る者たちと窓の外のドラゴンは生きたまま八つ裂きにしてくれよう』

あまりの恐ろしい言葉に言葉も出ない。
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