最弱救世主とドS騎士

アレックスが境界線のつもりで置いた花瓶を挟み、私達四人と二人のリアムは向き合った。

「これも置きましょう」
ジャックが銀の砂時計をテーブルから花瓶の隣に移動する。

まだ砂時計が全て下に落ちるには時間はあるけど、私達に余裕はない。

「リアム」
アレックスの問いかけにリアム達は顔を上げた。

双子みたい。

「昔の話を覚えているかい?」
懐かしそうにアレックスが話し始める。

「私達はよく遊んだね。遊びに夢中になって家庭教師に怒られていたっけ、お前がサボるの大好きで、私はそれに付き合いよく父上に怒ら……」

「逆だ!お前のサボりに付き合わされて、いつも俺が巻き込まれてた!」
右のリアムがイラつきながら話の途中で言い

「お前は逃げ足が速いから、いつも俺が怒られた!」
左のリアムはうんざりして言う。

「子供の頃、城で飼ってたフェニックスを覚えてる?名前は何て言ったっけ?」
アレックスの次の問いに

右のリアムは
「スパークだろう。お前が俺の背中にスパークの大好きな水晶の花をベッタリ着けて、俺はスパークに餌にされそうな勢いで背中を突かれ泣いていた」

そして左のリアムは
「それから王と王妃にお前が怒られ、お前は泣きながら『リアムに【やれ】と頼まれた』と言って俺に罪をなすりつけたな。俺が反論しようとしたら、お前は熱を出した。はしかだった。ザマミロと思ったら次に俺が移ってお前より高熱を出してお前より寝込んで苦しんだ」

あきれたような顔でふたりは言い
アレックスは「両方正解」と、私達に驚きながら言う。

正解って
子供時代の二人の関係が浮かんできて、リアムの不憫さが浮き上がる。ユルユルな王様に苦労させられたのね。
< 167 / 236 >

この作品をシェア

pagetop