最弱救世主とドS騎士
「何階ですか?」
声を出して聞いても返事はなかった。
日本語ダメかな
ここは英語チャレンジしましょうか。
「Which floor would you……」
「△◇☓☓……□☓△!」
最後まで聞かないうちに、女性は聞き取れない言葉を発して強い力で私の左手を握る。
えっ?
そしてまた何か小声で言ってから、スッと扉を開けてエレベーターから降りてしまった。
夢?
エレベーターは急に動き始め、普通の時間が私に戻る。
綺麗なモデルさんが乗ったよね、そして降りたよね。
私の手を握ったよね。
おそろしく冷たい感触だけは残ってる。
握られた左手に違和感を感じて目を向けると、いつの間にか薬指に真っ赤な丸い石が入った銀の指輪がはまっていた。
なんで?
なんで指輪をしてるの私?
この指輪……何?
さっきの綺麗な女性が私にいつの間にかはめたの?イリュージョン?
自分の小指の爪ぐらいある大きな赤い石。
真っ赤な石はなんだろう珊瑚かな。
珊瑚だったらとんでもない値段じゃない?
いやどうしちゃったの?
とりあえず外そう。
外してから考えて……って外れないっ!
指輪が外れないっ!