最弱救世主とドS騎士
「ここまできて、私って本当にダメダメ女だ」
ボソッと本音を吐きだすと
首に剣を突き刺されそうな右のリアムが「勇気を出せリナ」と叫び左のリアムは眉間にシワを寄せ、怒ったようにこう言った。
「リナはポンコツではない!何度言わせるつもりだ!」と……。
ビンゴ!
やっぱり思った通り
左が本物のリアム。
左のリアムで大正解!
私は自分の魔法の剣を素早く抜き
迷いもなく右のリアムの胸に突き刺すと、本物の左のリアムも私に続いて首筋に向けていた剣をそのまま強く突く。
魔王は胸と首から血を流しながらも、笑顔で私に話かける。
「なぜわかった?」
愛する人と同じ顔だけど
その笑顔は邪悪そのものだった。
「迷ったよ。最後まで迷った。でもポンコツワードは私は何度も使っていて、リアムも理解していた。それに……リアムは私を溺愛している。何があろうと私を優先して、私の思うまま行動しろって言ってくれる」
って
自分で言うのも恥ずかしいけどね。
「それに最初にフレンドを心配していた。この国の騎士団長は全てに目を通し、人の痛みを自分の痛みとする優しい人だから」
素晴らしい人だから
私の愛する男性は。