最弱救世主とドS騎士
「俺のリナに愛の言葉を吐くな!」
突き刺した剣をもっと深く射し
嫉妬丸出しで叫ぶリアム。
うん
この嫉妬深さは間違いなくリアムです。
「見事だ異国の女……しかし、私を倒せるのかな?」
リアムの姿をした魔王は血を流しながら楽しそうに言うと、一瞬でその身体は消えてしまった。
私達は剣を突き刺したままだったので
いきなり突き刺していた腕が軽くなって
身体をふらつかせながら互いを支えた。
「勝負に勝っても、私を倒せなかったら意味がない」
魔王はまだリアムの姿のまま
私達の前に立つ。
やっぱり
この剣で刺しても勝てないの?
「『私と命を賭けた勝負をしよう』って言ったじゃない!言葉通りに負けを認めて倒れなさいよ!」
「だから倒すチャンスを与えてるだろう。どうする?砂はもうないぞ」
魔王の高笑いの声を聞きながら振り返ると、本当だ砂時計はもうほどんどない。
アレックスとジャックとシルフィンはもう言葉もなく私を見るだけだ。
あきらめたのか
叫びも泣きもしない。
手にしている剣は魔法の剣
誰も手にできなかったけど私は手にした。
そして私は王妃様から、この国を救うために呼ばれた女。
何が足りない?
中指の指輪がまた熱を帯び
私は珊瑚の指輪をその場で外す。