最弱救世主とドS騎士
下がるエレベーターの中でひとり悶える私。
まじか
どうして外れないの?
だってさっきは手を握っただけでスッと入ったのでしょう?なんでーー!
身体をくねらせながら指輪と闘っていたら、エレベーターが停まった。
お昼休みのうちに外さなきゃ
こんなの着けて会議になんて出れない。
どこぞのセレブのマダムでしょう。
指輪に夢中になりながら
開いた扉を一歩踏み出すと
膝から崩れた。
膝カックンされた?
身体が崩れて力が抜けて
もう何も考えたくなくて
その場に倒れる
人の声が遠くに聞こえた。
「ミドルフロアのエレベーター使用中止だって」
「えー。どうすりゃいいの?」
「階段使ってアッパーフロアまで上がるか、10階まで下がって専用エレベーター使うかにして」
「了解でーす」
ミドルフロアのエレベーター
私
使ってましたけど……あぁダメだ……眠たい。
寝ちゃダメだよ
こんな会社で倒れて寝てはいけない。
午後イチの会議もあるんだからね
課長クラスに混ざって会議に出るのだからね
だから
寝ちゃ……ダメ……なの……よ……。