最弱救世主とドS騎士
物語は終章がお楽しみなのに
会社を出ると
風の冷たさに身を震わせ
コートの襟を反射的につかんでしまった。
外の景色は見慣れたオフィス街。
車の音と人の波
背筋を伸ばして
私と似たような人種が足早に歩いてる。
高いビル
オフィスの窓明り
ネオンと街灯と車のライト
人々が歩きながら覗くスマホの明り。
人工的な星ばかり輝く私の世界。
残業疲れなのか
食事より甘い飲み物が恋しくて、コーヒーチェーン店に入ると学生達も多く混み合い、私はラテを手にしてスーツ姿でPCを操るビジネスマンと、文庫本を読む綺麗なお姉さんの間に入ってコートを脱いだ。
人がいっぱい歩く様子を見ながら
あったかいラテを飲んで
家に帰るまでのリラックスタイム。
幸せなひと時。
ありがたい事に来年の創立30周年に向けての仕事が忙しく、会社でぼんやりする時間はない。
だからここに寄り
ここでぼんやりしてしまう。
最初は家でぼんやりしていた
でも
家でぼんやりしていると、本当に何もできなくて、着替えもせず食事もせず風呂も入らずで過ごしてしまったので、自分で反省してぼんやりと考えるのは、この場所だけにしようと自分で決めていた。
ぼんやり考える事とは
もちろん
リアムの事である。