最弱救世主とドS騎士
現実逃避の夢なのか?
夢のわりに
リアルすぎるぐらいリアルで
ラストの魔王との闘いなんて
二度と思い出したくないくらいハードで痛かったもん。
ワイン美味しかったし
空も飛んだし
愛する人に抱かれたし
素肌と素肌が重なった感触も覚えてるもん。
でも絶対ありえないよね。
皆の思ってる事が正しいのかな
振られたショックがあまりにも大きくて、頭の中の現実逃避の妄想が膨らんで、もう一つの世界を自分で作ってただけなのかもしれない。
それしかないよね。
だって
ありえないもん。
ありえないんだから
ポロポロと涙が流れたので、指で払おうとすると右手の中指が重い。
見ると
銀の指輪が私の右手の中指にはまっていた。
これって
リアムの指輪?
課長が去ったのを確認しながら、ベッドから飛び起きて震える手で指輪を確認すると、私が着けるにはちょっと幅が大きい銀の指輪は白百合の紋章が刻まれていた。
やっぱりこれはリアムの指輪。
彼のお母さんの形見で、私を抱いた後に自分の指から外して私にはめてくれた。
重い銀の指輪を握りしめ
私は頭を混乱させていた。