最弱救世主とドS騎士


「宮本さんって姿勢いいですよね」

キャビネットから分厚いファイルを取り出し、カウンターでそれを立ちながら読んでたらそう言われた。

「そうかな?」

「はい。背筋が伸びてて綺麗です」

「後ろから見て?」

「はい……え、いや!前から見ても素敵ですよ」

とってつけたような後輩の言葉に『ありがとう』と言う私。後輩をからかってしまった。姿勢がいいのはドSな剣の先生のおかげかな?苦笑いでまたファイルに目を通してると、カウンター越しに課長が声をかけてきた。

「新しくする社史の件なんだけど、副社長の写真がまだ撮影されてないけど予定はどうなってたっけ?広報に聞いた方がいいのかな?」

副社長?

私が不思議そうな顔をすると「ごめんごめん、広報だね」って、ひとりうなずきながら目の前から去ってしまった。

副社長?

うちの会社って副社長いた?
頭を悩ませてたら
同期の子が課長の代わりにやって来た。

「副社長。やっぱりうちの会社に来るのかな?」
ワクワク顔で私に聞くので、私はまたワケわからなくなる。

なんかさ
異世界に飛ばされ妄想走ってから、記憶力があいまいになってきたかも。大丈夫か私?何を飲めばいいんだっけ?イチョ葉エキス?グルコサミン?それは関節か。

「うちの会社って副社長いた?」
素直に聞くと
同期は呆れて私に教えてくれた。
「会長のお膝元である京都支店にいたでしょう。会長のお気に入りでさ、賢くてイケメンで金持ち御曹司。それが来月からこっちの本社に来るって大騒ぎしてたの忘れた?」

会長の孫で社長の息子か?
そんなの……いたっけ?
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