最弱救世主とドS騎士

抱きしめようとするリアムから一歩下がり、私は彼の姿を見つめた。

端整な顔はそのままだけれど
ヘーゼルの瞳は漆黒に変わり、背中まであった長い髪は短めのツーブロックになって清潔感に溢れてる。ウエストを絞ったチャコールグレーのスーツはたぶんイタリア製で淡いブルーのシャツと合わせた赤系のネクタイが似合っている。手首から覗くシルバーの腕時計も高そうでまさしく仕事のできる御曹司って感じ。

「肩幅あるからスーツ似合うね」
なぜか急に恥ずかしくなりうつむくと、アゴをグイッと上げられた。

「やっと見つけた」
リアムの切ない声と共に唇が重なる。
懐かしいくらい甘いキス。

「聞きたい事が沢山あるんだろう?」

「一晩中ある」

「リナを抱く時間も必要だ」

「いや……それは……」
真面目に語るリアムはやっぱりリアム。
恥ずかしくて顔が赤くなってしまう私。

「本当はアレックスから話をさせたいのだが」
私を離したくないのか、キスをしながらリアムはそう言った。

アレックス!
その名前を聞いてスイッチが入る私。

キラキラ御曹司副社長は絶対アレックスだと思っていたのにリアムだったとすると

アレックスはどこにいるの?



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