最弱救世主とドS騎士
デスクに戻ると課長が危険物を見つめる目で私を見ていた。
ごめんなさい。すいません。あなたの部下は副社長とデキてます。色々と追及される前に逃げます私。
残っている仕事はないのでデスクを片付け、退社時間ピッタリに席を立ちリアムの元へ行こうとすると、逆に彼がやってきた。
「迎えに来た」
総務にやって来た御曹司。
噂のイケメン御曹司は目立つ目立つ。
驚く社員を背中にしながら、私はリアムの腕を引っ張って会社から逃げた。
逃げるが勝ちって
こーゆー事を言うのだろう。
「目立つんだって!」
「何が悪い?」
いつでもどこでも堂々とする姿。さすが騎士団長様。
重役専用駐車場スーペースにあったのは、白のセダンの高級車だった。助手席のドアを開けてもらい乗り込もうと思った時「もう帰るのかい?」と、優しい声がかけられた。
振り返ると社長と常務がそこに居た。
「しゃ……社長」
一般事務員からすれば雲の上の存在。
背筋を伸ばしてしまう。そして自分の失礼行動を思い出す。
リアムの副社長デビューを廊下でそそくさと終わらせてしまったのは私の責任です。