最弱救世主とドS騎士
「場所を変えよう。ほら、役者もそろった」
アレックスが遠くの芝生を指さすと、黒のスタジャンを着たジャックが小さな女の子を抱きながらこちらに歩いて来た。女の子は私達を見るとジャックの腕からジャンプして、一直線に走って来た。
広いおでこを風に受けながら、ふわふわクルクル天パの女の子。目が大きくてなんて可愛いんだろう。ほっぺたがピンクで唇はさくらんぼみたい。子供雑誌のモデルみたいな顔をしていた。2歳か3歳ぐらいだろうか?緑のワンピースが似合ってる。ジャックの知り合い?
「リーーナ――」
女の子は私の名前を呼んで息を切らして抱きついてきた。
リナ?どうして私の名前を?
「リナ!」
女の子は甘えてギューっと抱きつくので、私は抱き上げて可愛い顔をジッと見る。
もしかしたら
まさか
まさかのまさかだけれど
「ふっ……フレンド?」
震える声で聞いてみたら「はーい」って返事をして、ぷにぷにほっぺを私の頬にくっつけて甘えてきた。
フレンドなの?あの甘えん坊ドラゴンが、こんなに可愛い女の子に?てか連れて来たの?
「そろそろお昼にしようか?どこに行く?」
アレックスがフレンドに聞くと「パパー」ってフレンドがアレックスに手を伸ばした。
「ぱっ……パパ?」
「夢を追いすぎて妻に逃げられた、かわいそうなシングルファーザーなんだよ私は。ファミレスに行こうか?ファミレスって偉大だね。カレーもハンバーグもある。すっかりカレーにはまってしまったよ」
軽々とフレンドを抱き上げたアレックスに連れられて、私とリアムとシルフィンとジャックはファミレスに移動した。