最弱救世主とドS騎士
「リアム以外は使える」
言いずらそうにアレックスはそう言った。
私のせいで使えなくなってしまったんだ。
落ち込んでたらフレンドが小さな手で私の頬をパチパチ叩く。

「そうだ、フレンドも使えないからリアム様と一緒だね」
私の気持ちを軽くするようにシルフィンが助け舟を出してくれた。

「リナ、これはリアムの希望なんだ。リアムは魔法が使えなくてもリナの傍を選んだ。リアムは私達の世界から離れる。私達が戻ったら、もう二度と会う事もできなくなるだろう」

「二度と会えなくなるなんて、それは聞いてない!」
声を上げてしまったので、私の膝の上に座っていたフレンドがビクついて半泣きになってしまった。ごめんごめん。「ごめんフレンド」優しく抱き直してあやしながら、私はリアムの顔を見つめた。

「リナに言うとまた混乱するから、黙っていようと思ってた」

「アレックスの力で向こうの世界と行ったり来たりできると思っていた。リアムから故郷を奪ってしまう。故郷どころか、兄弟同然のアレックスと会えなくなるなんてお互い苦しいのに」

「ルールを決めなければ、軸は壊れてしまうから」

だって
そんなの
もう二度と私とリアムはみんなに会えなくなるなんて……。
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