最弱救世主とドS騎士

「リアム様を頼みます」
私にだけ聞こえる声でジャックが囁くので、私は「うん。約束する」と返事した。
尊敬する人と離れ離れにさせてごめんなさい。ジャックの分まで彼を支えます。

ジャックと離れると
次は細く柔らかい身体がふわりと私を抱きしめた。

「リナ様」
「シルフィン」
あぁもうダメだ。二度と会えないと思うと寂しくてたまらない。

「リアム様と幸せになって下さい。リナ様の事は忘れません」

「ありがとう」
私も忘れないよって言いたいけれど、私とリアムの記憶はこの世界の記憶だけになり、大好きな人達の顔も声も全て消されてしまうから言えなくて辛い。

「シルフィンも元気でね」
ギュッとハグして私と離れてから、シルフィンはリアムの前に立ち深々と丁寧にお辞儀をした。リアムは「お前はすぐ無理をしてアレックスの盾になるから、自分を大切にしなさい」と静かに言って肩に手をかけた。シルフィンもリアムを尊敬していて大好きだった。シルフィンの分もリアムを大切にするからね。


そして

「ありがとうリナ」
アレックスが私の腕を取り自分の胸に引き入れた。
広い胸元で膝が崩れるような甘いキスをされた事を想い出す。



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