最弱救世主とドS騎士
あちこち歩きながら連れて行かれたのは、ひとり暮らしの私の部屋がふたつすっぽり入るくらいの大きさの客室。男が軽く手を叩くと天井のシャンデリアと大きなテーブルの上にあるランプに灯りが点く。
壁は石づくりだけど天井が高くて窓がふたつあって、クローゼットとお姫様ベッド。
映画で見たことのあるお姫様ベッド。
ふんわりと天井から薄いベージュのシフォンがベッドを囲んでいる。
素敵なお部屋。
「では」
クルリと振り返って部屋を出ようとする男の手を、私は必死で掴んだ。
「なんだ?俺は忙しい」
「あの……お腹空いたしトイレとかお風呂とかあればご案内を……」
「自分の魔法でなんとかしろ」
冷たい一言を残してまた部屋を出ようとするので、再び引っ張る。
「魔法なんて使えない」
「お前本当に使えないのか?」
本気で驚いた顔をして
男は私をジッと見る。
憎たらしいけど
やっぱイケメン。
男らしく端整な顔がセクシー。
「わかった。ちょっと待て」
男はあきらめたようにそう言って「シルフィン!」と大きく叫んだ。
すると
「はい。リアム様」と……いきなり女の子が目の前に現れて膝を着く。
どっ……どこから来たの?