最弱救世主とドS騎士

食後のコーヒーではなくワインのおかわりをいただいてると、高い場所にある小さな窓から大きな鷹が室内に飛び込んできた。

驚いて席を立つと
「驚かせてすいません」と、鷹はうっすら汗などかいて昨日会った爽やかジャニ系青年に目の前で変化した。

「国境の周りは変わりありませんでした」
背筋を伸ばして青年はリアムに報告をしてから、王様に頭を下げてシルフィンの隣に移動する。
その時こっそり
「昨夜は寝れましたか?」って聞いてくれたので「うん。ありがとう」と返事をした。

優しいのね……誰かさん以外は。

「食事が終わったら散歩でもどうかな?」
王様がそう言うとシルフィンの顔が輝く。

「王様。街のご案内もお願いできますでしょうか?今日はお天気もいいのでドラゴンの背に乗れば街も葡萄畑も綺麗に見れます」

「それなら僕が先頭になってご案内します」

「そうだね。公務は後にして皆でリナを案内しよう」

おもてなし計画をワイワイ話してくれるのが嬉しくて、つい幸せ感じていたら背中から冷たい空気が流れてきた。


「お前たちまで浮かれてどうする!このまま城に居座るなら働けっ!」

春の日差しのようなぽかぽかムードを、リアムの声が雷のように真っ二つにする。
怖くて王様でさえも突っ込めないという。

「食べたか?」

「はい」

「移動する。王も来て下さい」

私は軽々とリアムに荷物のようにかつがれ、強制的に食堂から退場する。

「シルフィ―――ン」
自分より年下の女の子にすがったけれど、シルフィンは「がんばってくださーい」って苦笑いで手を小さく振ってくれた。

頑張る自信がないよーーー!



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