最弱救世主とドS騎士
「お茶を飲みなさい」
王様の優しい声が私を包み、紅茶を口にすると身体が温かくなって不安が消えてゆく。
これも王様の魔法がかかっているのかな、リラックスする為にカップの半分ほど飲むと気持ちが落ち着いた。
「リナ、希望を捨ててはいけないよ。きっと元の世界に戻れると信じなさい。それまで私達が丁重にもてなし……」
「甘い!それどころではないでしょう王様」
「リアムは真面目だから」
「王がいつも適当だから私が困るのです!」
リアムにズバリ言われて王様は胸を押さえた。
適当なのか王様。
リアムの矛先は今度は私に向かう。
「本来なら闇の者かもしれないお前を傍に置くのは危険だ。すぐにでも国外追放してもいいのだが、魔法も使えない女を国外追放して生きながら食い殺されるのも、こちらとしても夢見が悪い」
国外追放されたら
生きながら食い殺されるの?
「絶対嫌ですっ!ここに置いて下さいっ!」
そんな怖くて痛い思いするのは嫌だ!
「それなら客扱いは今日で終りだ。働け」
働かざる者食うべからず
どこの世界でもそうなのか。
「はい」
でもそれは仕方ない。
いつ帰れるかわからないのだから、ずっとお客様扱いは申し訳ないだろう。
「リナは何が得意かな?」
王様に聞かれて考えた。
私の得意なこと……。