最弱救世主とドS騎士
「何もできなくて……ごめんなさい」
言葉にすると悔しさ倍増。
肩を落として溜め息をする私にアレックスは近寄り、そっと頬を撫でる。
「リナが気にする事はない。リアムは真面目なんだ。そして秋まで機嫌が悪い」
「秋まで?」
「いや……うん……そのうちゆっくり教えてあげよう」
「私は無力です」
「無力な人間などいないよ。誰もが大切な人間だから」
「リアムに怒られてばかりです。私が気に入らないのでしょうね」
自虐的に笑ったら
アレックスは別の意味で笑ってた。
「逆だ。リアムはリナが好きなんだ」
「えーっ!ないないそれは絶対ないです」
ありえない冗談だ。
あんだけ怖い顔で何度も見られて、怒られて呆れられて、邪魔者だと思ってるだろう。いい加減にしろって顔に書いてるよ。
「よくあるだろう。好きな子をいじめるって」
「それは子供でしょう」
「リアムは純粋だから」
意味わかんない。絶対違うそれ。
「今日だって、目も合わせてくれないし、ろくに返事もしてくれなかったんですよ」
ジャックは爽やかに話をしてくれたのに、上司のリアムのあの態度……そんなに嫌われてるなら仕方ないって思った寂しい朝食だった。