最弱救世主とドS騎士
話を聞きたいような
聞きたくないような不思議な気持ちが交差する。
ジャックは私が聞かないせいなのか、それ以上何も言わなかった。
帰りは田舎道を歩きながら
ジャックが私の世界を聞きたがるので、教えながら帰るとジャックのテンションが上がる。
「テレビって凄いですね!」
テレビには食いついてくれたけど
電子レンジには食いついてこなかった。
電子レンジは確かに魔法ができたら……いらないな。
料理をするお母さんたちは冷凍肉も魔法で解凍できそうだもんね。
スマホも必要なさそう。
スマホなんて流行らせたらアレックスが嫌な顔をしそう。いや……アレックスが一番ハマるかも。インスタをガンガン更新してイイねを気にして国務に響くかも。
考えると楽しい。
ジャックはノリのいい後輩に似ていて、頭もいいのか気が合うのか、会話がポンポン弾み私達は帰り道は笑ってばかりだった。
「考えたらさ、ジャックは馬より飛んで来た方が速かったんじゃない?」
「馬に乗りたいんですよ僕が」
「鳥なのに?」
「いじわるだなぁリナ様は」
爽やか鳥青年と楽しく時間を過ごしていたら城門に到着して、そこに凛々しく真っ黒い軍服を着た騎士が立っていた。
「リアム様」
ジャックは慌てて緩んでいた表情を戻し、馬から降りて私の身体も降ろしてくれた。
「楽しそうだな」
リアムもデキのいい魔法使いというから、千里眼で全部覗かれてたかもしれないね。
悪い事してなんだけど
端整な頬がヒクヒクしている様子を見たら、なーんかヤバい気持ちになってくる。