最弱救世主とドS騎士
背中で騒がなくなった私をつまらなく思ったのか、フレンドはマイペースにゆっくり空を泳ぎ出す。
ちょっと慣れた私は龍の背を楽しみ始め
アレックスは金髪の髪をなびかせ優雅に微笑む。
最高の時間だ。
「海が波で輝いてますね」
なんて綺麗なんだろう。
「水平線の奥にクジラが見えるかい?」
「えっ?本当?」
浮かれる私の声に応えて
アレックスはフレンドに耳打ちし私達は水平線に向かった。
海岸のその先はどこまでも海。
果てしなく海。
私達の真下で噴水のような水しぶきが上がり、怖がり泣き虫ドラゴンは情けない声を出す。
アレックスは優しくフレンドを撫で、私は大きなクジラに目を見張る。
ここでホエールウォッチングができるなんて、それも空の上からとはなんて贅沢なんだろう。
迫力のあるクジラの動きを見ていたら、もう1匹現れたのか水面が黒くなる。
2匹並んで泳ぐ図が見れるのかなってワクワクしてたら
それはクジラじゃなくて
大きな大きな……タコだった。
タコ?
「クラーケンが現れた」アレックスがサラッと言う。
クラーケンって
ディズニーの海賊映画で見たかもしれないけど、本当にいるね怖っ!