最弱救世主とドS騎士
海の上で波が大きく動き
そのあおりをうけてフレンドも揺れている。
巨大なるタコが8本の手を動かしてクジラを捕えようとするけれど、クジラは巨体を海に潜らせながら大きな尻尾で反撃する。
迫力スゴすぎ。
大スペクタクル映画になっていた。
怖がるフレンドのたてがみを撫でながら「いつものじゃれ合いだよ」とアレックスは言うけれど、巻き込まれそうで怖いわ。
フレンドは涙目になり一目散で浜辺に戻る。
逃げるが勝ちだよね。
「これからが面白いのに」
「怖いから嫌です」
「私と一緒なら怖くないだろう?」
そっと肩を抱き甘い言葉を囁く王様。
あまり迫って来ないでよ
フレンドが嫉妬して落とされたら困るでしょう。
「リナは向こうで恋人はいたのかい?」
「いたけど……振られました」
「こんな素敵な女性を?」
「いえいえ。ぜんぜん素敵じゃないけれど、私より素敵な人と出会ったみたいです」
割り切って過去の話と思うけど
口に出すとやっぱりまだムカつくのは、人間デキてないせいかな?
いやいいんだ。心の狭い私も私だ!
なんか
この世界に来てから
割り切る事が多くなった。
そして
自分が素直になっている。
時間に追われる事もなく
ネットに振り回される事もなく
上司と後輩に気づかう事もなく
心と身体が解放されている。