最弱救世主とドS騎士
「落ちてる落ちてる」
わかりきった実況説明をする私の身体を、リアムはすっぽりお姫様だっこで受け止めた。
至近距離で見るリアムはやっぱりイケメン。
「ケガはないか?」
「……ありがとう」
リアムは私を抱いたまま
そっと流木のイスに腰をかけ
また海を見つめる。
リアムの胸に抱かれたまま
私も海を見つめる。
静かだった。
会えばケンカの私達なのに
ふたりとも何も言わず
私は安心して彼の身体に身を預け
彼は手を伸ばし私の手を握る。
規則正しい波の音がどこか寂しげに感じてしまうのは、リアムの心が寂しい気がするからだろう。
太陽が西に傾く
遠い果てまで続く海を上から見ていたのに、今は水平線しか見えない。
「俺は……無力だ」
ため息混じりの声が私の胸を苦しくさせる。