最弱救世主とドS騎士

大きな大きなホール。
こんな大きな場所あったっけ?
魔法で作ったのかな。

ホールの半分にテーブルが並んでビュッフエ形式にごちそうが並び、半分はテーブルも何もなく人が散らばっている。きっとあそこでダンスを踊るのだろう。

正面にステージがあり
そこの中央のゴージャスなイスに黒に近い緑の王族風衣装を着たアレックスが座っていた。ゲストが列を作ってアレックスに挨拶をしている。

「私達も並びましょう」
シルフィンに引っ張られて列に並び、人の多さと慣れない服装でドキドキしながら順番を待ち、私達の番になってアレックスの足元で頭を下げる。

「王様にはご機嫌もうるわしく、お誕生日を心からお祝いいたします」
シルフィンはそう言って可愛らしく礼をする。

次は私の番だね緊張しちゃう。
知ったかぶりで間違った言葉づかいをしても恥ずかしいので、普通に心を込めてのご挨拶。

「お誕生日おめでとうございます。優しい王様とこの国の幸せが続きますように」
そう言って顔を上げると

「ほう……これはこれは……」
アレックスは驚いた顔をして、パチンと指を鳴らすと音楽が鳴り出した。

三拍子のワルツ。

「踊っていただけますか?」
アレックスは玉座から飛び出して、有無を言わせず私の手を取り腰を抱く。


これが

お城の舞踏会のダンス

夢の世界。
< 94 / 236 >

この作品をシェア

pagetop