そして、失恋をする
「今日は、八月二十八日。金曜日か………」

僕は、カレンダーに視線を向けてつぶやいた。

昨晩、出会った千夏の姿が僕の脳裏に浮かび上がった。千夏が言ったことが事実なら、来週の木曜日に死ぬ。まるで、僕の好きだった千春のように。

僕は千夏のことが好きではなかったが、なぜか胸が苦しくなった。

「じゃ、行ってくる」

朝食を食べ終えた僕は、パジャマから制服に着替えて玄関先でそう言った。

「陸は、いつも早く家を出るのね」

「まあね」

僕は、短く答えた。

僕が家を早く出る理由は、千春のお墓に寄りたいからだ。千春のお墓の前で、たわいのない話をすることが僕の日課だ。いやーーーー僕の幸せだ。

「行ってらっしゃい」

母親がそう言ったのと同時に、僕は家を出た。
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